「実録 連合赤軍」

 ようやく本編を見た。テアトル新宿のイベントも全部行ったし、シネマヴェーラ若松孝二特集も結構行って準備万端。
 前半は坂口拓の演じる塩見の独壇場。なにか良くわからないけど御免なさい、といいたくなる迫力が素晴らしい。森恒夫を淀川で再スカウトする時の姿がとにかく格好いい(塩見じゃなくて田宮高麿だった、変装かと思ってた)。

 この映画の前半部分は歴史のお勉強でつまんない的な批評を見たけど、不勉強な私にとっては山に入ってからより先の読めない面白さがあった。生まれる前の事件だから既に歴史の一コマであるという面がどうしても拭えないわけで。
 (すでに彼らの暴力が内を向いていたということを示すためにも重要だと思うし……)
 物語的にも王将格の塩見が消えて、遠山と両輪的な役割をしていた重信も去り、どんどん軌道が狂っていくという道程が見えた。
 山に入ってからの森と永田のいやらしいこといやらしいこと。おかげで自分の中で「勇気を出して造反しろよ!」という気持ちを掻き立てられて、最後の加藤三弟のセリフを受け入れる態勢が出来上がった。
 遠山が総括されるときの服装と、あさま山荘の管理人の奥さんの服がおなじ白のタートルネックだったのは、物語上の役割を引き継いだと見るべきか。
 ラストに「赤軍PFLP・世界戦争宣言」の冒頭部が挿入されることで、”開いた”感触の作品になっていると思う。「我に撃つ用意あり」と似たような感触。
 立ち上る黒煙のほうが降り注ぐ光の雨より面白い
 遠山と重信に資金を差し入れる人物が、秋山未痴汚かと思ったら宮台真司だったー。このことは宮台真司同級生認定。
http://www.cinemavera.com/essay.html
 その他、重信と加藤三弟役の人は可愛かった。
 水泳銀メダリスト田島寧子が川べりで粛清されるが、泳いで逃げようとはしなかった!