アレクセイと泉 [DVD]

 ロシアとの国境近くにあるベラルーシの村。チェルノブイリの事故によって、避難勧告を受けた地域だが55人の老人と1人の若者−アレクセイ−が未だに元気に暮らしていた。その健康の鍵は地下から湧き出る泉にあったというドキュメンタリー。
 何か『風の谷のナウシカ』めいたところがある話だが、それよりも、オールディスの『バクベアド』に非常に近い印象をうけた。
 まず、村は老人達の思い出と、地下水という過去によって生存している。まさにノー・フューチャー。またアレクセイのナレーション以外はほとんど村人達へのインタヴィューは行われておらず、淡々としたタッチが、その印象を強めている。
 個々に印象に残ったシーンとしては、

  • 収穫祭にきた司祭が聖水をかけるとき、アレクセイがマジで嫌そうな顔をしていたこと。
  • 移動販売車が来たとき女性は生活必需品を買っていくのに、男性はウォッカを買っていくところ(お約束)
  • 泉にたてる十字架を造っている時に、窓越しに見える猫が喉を掻いているところも、よくこの瞬間を逃さなかった、と言いたくなる名シーンである。