砲艦サンパブロ
1926年中華民国揚子江流域で任務につく米砲艦サンパブロにスティーブ・マックイーンが機関科の下士官として着任する。
当時のヴェトナム戦争批判を織り込みつつ、東洋の西洋の関係の複雑さを提示してくれている。
オープニングのジャンクとサンパブロが重なりあうイラストは二つの文明の断絶と交錯を表していると思った。
主な舞台となるサンパブロが、アメリカが東洋戦略を転換させた米西戦争で得たものとういうところ。これは過去の世代の負の遺産をマックイーン達若者が払わされていくということを暗示していた。
河上の戦闘でマックイーンが交流のあった中国人青年を殺害すると同時に、河上を封鎖したいた材木が裂けるところはベタながら良い心象表現だったと思う。
リベラル、米国の名誉ために退けない立場に陥ってしまった者、心情的に中国に肩入れしている者、三者が等しく銃弾に倒れてしまう無力感に満ちていた。
他にも二幕構成で比較的明るい前半を夏に、暗い内容の後半を冬にするといったところが2000年代にみると新鮮だった。勿論マックイーンを活かした銃撃戦も魅力。