ジーン・ウルフの短編集。どの作品も技巧が尽くされていてすばらしい。訳者の後書きで柳下氏が読書体験を巡った物語と解説されているが、それ以上に全作品(ボーナストラックを除く)の主人公である逍遙する異邦人像の組立がうまいと思った。
多様な解釈を許す文章のため、自分の解釈が本当にこれで良いのか?と確かめるために何回も読み返したくなってくる。
『アメリカの七夜』で描かれる崩壊したアメリカの姿には臭いまで伝わってきそうな強烈なイメージがあった。また短編集の最後を飾る『眼閃の奇跡』のオチはジーンと来ちゃいました。