私がホラーはTRPGと相性が悪いと考える理由

 ホラーはTRPGクトゥルー以来しっかり橋頭堡を築いている。が、ホラーファンとしてもTRPGファンとしてもどうもしっくりこないものを感じている。そのことをまとめてみたい。確かにホラー系RPGは面白いのだが、恐怖点によってオカシクなっていくPCのドタバタぶりを笑っているのであって、恐怖そのものを感じることはあまりない。

 前提として、TRPG全体としていえることだが、ヴィジュアルや効果音、音楽に弱く、その面での演出はとても難しい。 しかも映画の場合(カーペンターを除いて)音楽と演出はそれぞれエキスパートがやるわけで、大分ハンデとなる。 
 第一に、ホラーは多かれ少なかれ、恐怖を演出するのに理不尽な現象を使用していることが多い、しかしゲームでそれをやるとアンフェアなことになってしまう場合がある。
 その上、コンピューターゲームではゲーム機に文句を言ってもしょうがないという気になるが、TRPGの場合はマスターに文句を言えば何かある(ような気がする)。
 理詰めの恐怖というものもあるが、作るのが大変だし、PLが知恵比べ受けて立ってしまうと、恐怖どころの騒ぎではなくなってしまう。
 これでイタリア系の「いや〜ヒドイことがおきましたね。でも事件は(物凄く適当に)解決したのでオシマイ、オシマイ」な話しをやったらマスターはPLから暴力を奮われかねない。

 第二に間がコントロールできない。
 TRPGの長所の一つである、マスターとPLのコール・アンド・レスポンスはホラーの間による表現を邪魔しているような気がする。
 ここまでの文章を具体的にいうと、
 
ヒロインが悪い予感が取り憑かれ、立ちすくんだところを全身からアップまで寄っていき、風の音や劇伴が盛り上げるといった定番の描写が難しい。

 第三にPLは犠牲者になりに来ているわけではない。
 PLのみなさんは上で述べたように、追いつめられた状況を楽しみにしているかもしれないが、TRPGをしに集まったからには長くセッションを楽しみたいハズである。よって、真っ先に殺されて盛り上げに一役買いたいという人はなかなかいない。いたらいたで、マスターは能力にケチをつけられているようで悲しい。(NPCじゃ死んでもインパクト不足だし)
 それにPL達は5名程度とはいえ数がいて、なかなか有能なので「狂気の隣人」系なら正面から戦闘しても何とかなってしまう(ような気がする)。この場合、設定上、戦闘データを強くしづらいしね。
 要は『死霊のはらわた』は出来ても、『狩人の夜』は難しいということですわ。