『四季を売る男』 『シナのルーレット』 『第二の目覚め』

アテネフランセのドイツ映画史展望にて、三作品とも個人にとって社会が如何にいやなモノかを描いた作品
 ・『四季を売る男
 ファズビンダー作品。警官、外人部隊を経て、果物のタンカ売をしている男の転変(有為はつかない)を描いた作品。冒頭の彼のろくでなし振りを描いた部分はコントと見間違わんばかりに徹底している。救いの無い話。

 ・『シナのルーレット
 ファズビンダー作品。あるブルジョワ一家。足の不自由な娘が不倫中の両親を別荘で鉢合わせるように仕向けた。もっとも、それ位ですぐさま破滅に向かうような柔な玉ではない。娘は口の利けない家庭教師を引き連れ別荘に乗り込む。別荘番のおばさんと詩人を目指す息子を交え”中国式ルーレット”が始まった。
 これもまた救いの無い展開。身障者だろうがなんだろうが容赦しない。室内でのカメラワークが素晴しい。
 中国式ルーレットというのは二組に別れ、問題を出す組(以後A)が、もう一方の組(以後B)から(秘密裏に)一人選ぶ。B組の面々は人物が特定できる質問(「その人を動物に例えると?」、「その人のタイプは聖者、売春婦、母親誰に近い?」)をして、A組もそれぞれ答える。TRPGのキャラ立てにするチェックをゲームにしたようなもの。これで誰が誰を評価しているかわかるという寸法、同時に悪意を表明するにはもってこいのゲーム。

 ・『第二の目覚め』
 保育園の資金のために強盗を行った三人組の話。ハートフル系コメディタッチにしようとすれば幾らでも出来るのに、しないのが素晴しい。といってもファズビンダー作品と違って救いのあるオチ。