バイキング

 カーク・ダグラス主演の史劇、ということでどうしても二年後の「スパルタカス」と比べてしまう、「2001年宇宙の旅」(クラーク)と「ミクロの決死圏」(アシモフ)では確かにフライシャーのほうが分が悪いかもしれない、がこの作品ではそうはいかない。
 イングランド王の妃がバイキングに略奪され妊娠する。玉座は傍系王族(小悪党)の手に、産み落とされた王子は外国に送られる途中またもバイキングに略奪され、奴隷(成長後はトミー・カーティス)として成長するといういくらでも時間をかけられそうなところを15分でおさめてしまうところが素晴らしい。
 「バイキング」ということで横に長いバイキング船をいかした画面構成。バイキングの集落をもっともらしく描写する力。バイキングの族長のアーネスト・ボーグナインと世継ぎカーク・ダグラス(隻眼・スカーフェイス)の好演。
 イングランドの城攻めシーンで、第一の門では馬鹿でかい丸太を攻城鎚を使い(突入前に緊張しきったバイキングの中に一人不敵な笑みを浮かばせた奴を配置するのもにくい)、横の動きを使った後、櫓のイングランド軍と地面のバイキングの矢戦で斜めの動線となる。第二の門ではカーク・ダグラスによじ登らせるという縦の動きを使う。そしてカーティスとダグラスの異母兄弟決戦では円塔のテラスでの戦いを俯瞰でみせ、環の動きを出すとまことに飽きさせない。ここらへん良い意味で漫画的。
 オープニングとエンディングで当時のタペストリーをアニメで動かすのは、フライシャーの父へのリスペクトか?
 
イングランド貴族がイギリス英語を喋るのはそらそうだけど、そんなわけない(まあお約束)。
後親子役のボーググナインとダグラスが、ボーグナインのほうが一歳年下なのがなんとも。