ヒトラー〜最期の十二日間〜

 断末魔のヒトラー第三帝国首脳部をヒトラーの秘書インゲの視点で描いた作品。ヒトラーを怪物としてではなく〜という売り文句はドイツやヨーロッパではともかく、日本ではあまり意味がない。
 OPとEDの晩年のインゲ氏と、ストーリー上の冒頭にある秘書採用試験以外は潔いまでに十二日間に集中している。
 並の作品ならば、Dディやパリ陥落などに色気を出さなかったストイックさを評価したい。これによって、空間的に孤立しているベルリン、そしてヒトラーの司令部を、時間的にも閉塞させている。
 しかし、時間的に断絶させては歴史物としては問題があると思ったのか、先述の秘書採用試験において、ヒトラーがインゲの出身地ミュンヘンを聞いたとき、ノスタルジックな表情をさせることにより、時間的広がりをもたせ、「最期の十二日間」をヒトラーの人生の総決算だと印象付けることに成功している。
 また、ミリタリーやアクション部分も決して手を抜いておらず、ドッカン、ドッカンやってるところは嬉しい。