「フリア/激情」

 仏語素材に英語字幕と思って会場に行ったら、英語字幕すら都合によりなしということに。マジメに仏語を勉強しておくんだった。それでも最後まで見られたのは映像と音楽が良かったせいだろう。
 チラシよりあらすじ

主人公テオは落書きを得意とする画家。表現の自由が制限された社会で、真面目な政治的主張とは無縁に気ままな世界を描き続けている。ところがそんな単調で平和なテオの日常はエリオの登場によって一変する。そしてその様子は着実にテオの描く落書きに反映されていく

(なんか世界系っぽいな)
監督アレクサンドル・アジャ。1999年作品。ニ世監督とはいえ、処女長編でカンヌ上映とはやるねえ。
 落書きが結構な罪なんだから人ごとじゃないな。舞台となる町は(おそらく地中海沿岸)砂漠地帯にある。なかば見捨てられた町に色んな意味でフリークな住人がいるというのは「ヒルズ・ハブ・アイズ」を思わせる。感度の悪いラジオから不気味な声が聞こえるというのもそれっぽい。他にも全体的にホラーの演出方法を使っていて、後の方向性を感じさせる
 さらに、さすがはアジャ。主人公やヒロインが捕まってうける拷問が半端ななくって、血のりがたっぷり。「単なる芸術作品の枠に収まらない作品」となっている。特にヒロインの口をふさいでいたテープが剥がされたとき、テープの下で鼻血がゼリー状に固まっている描写はおつなもの。ヒロインはちゃんと脱いでくれますよ!
 ラストはこれも「ヒルズ・ハブ・アイズ」よろしく主人公が暴力に目覚める。そして片目に包帯、片手に拳銃で殴りこみと、隙の無い映画。