小沢一郎と『山猫』

桂歌丸、小沢代表の秘書逮捕に「ざまあみろ」毒舌ワケ
http://www.zakzak.co.jp/gei/200903/g2009030507_all.html
 私が注目したのは小沢氏の発言のここ

《私の好きな映画「山猫」で、イタリア統一革命に身を投じた甥を支援している名門の公爵に、ある人が、「あなたのような方がなぜ革命軍を支援するのですか」とたずねました。バート・ランカスターの演じる老貴族は静かに答えます。「変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない」

 
これを読んで何か負に落ちるような気がした。『山猫』と言えばヴィスコンティの傑作。イタリア統一戦争期のシチリアを舞台に、バート・ランカスターを家長とする貴族の盛衰(ほぼ衰のみ)と、動乱に乗じる新興層(小沢氏の文の中の甥、名前はタンクレディ)の力強さと野蛮さをも描いている。
 オープニングの物憂げにたなびく白いカーテン、タンクレディ演じるアラン・ドロンの色悪なところ、ラスト一人街路を行くランカスターと名場面にはことかかない。  
 小沢氏も流石にタンクレディアラン・ドロン)に自分を重ねあわせわしないだろうから、サリーナ公爵(ランカスター)に感情移入してるはずだ(もちろん現実の人物がフィクションの人物のようにスマートなわけが無い。第一ルックスが……)。これを敷衍すると、小沢氏の中では古いシチリア≒東北 統一イタリア(リソルジメント)≒新自由主義という図式が成り立っているのではないだろうか。
 素人目から観ても、公爵のように変化の波を地元でやり過ごす選択肢が無いと思う。タンクレディみたいな後継者が居ればともかく。
 
 
山猫 イタリア語・完全復元版 [DVD]